旅で括る / シュナの旅 / 冒険エレキテ島(1) / 宇宙にとって人間とは何か / なにもないシアワセ









シュナの旅
1982年に書き下ろされた宮崎駿の作品で、チベットの民話を自己解釈し直したもの。話しの内容は暗く、一筋の希望を信じ生き抜く若い男女の姿を描いている。同時期に連載されたナウシカと雰囲気が似ているなと思う。

後半に出てくる気味の悪い人を喰う?生物のデザインがキモくて本線より気になった。ファンタジーとリアリティの境界が突然出てきて消化しきれてないんじゃないのかな。私には唐突過ぎて我に返ってしまい世界にどっぷりとは浸かれなかったけれど、それでもすべての宮崎駿作品の原典という意味で興味深いものでした。


「冒険エレキテ島」
いつもながらの鶴田節といいましょうか。可愛くてちょいエロい好奇心旺盛な女子が活躍する話。絵が上手だから眺めているだけでも心踊るよ。パンツ探す主人公可愛い。


「宇宙にとって人間とは何か」
小松左京箴言集、ということで膨大な著書対談集から集められた言葉の数々がいちいち含蓄があって奮ってる。守備範囲が広く読んでいて飽きない。言葉に翻弄されイメージに酔いしれてしまう。

博識であることは勿論のこと、それらの知識を統合し世界の仕組み、宇宙の成り立ちまでを理解し、文章化できてしまう構成力を持つ人は彼をおいていないでしょうね。

返す返すも「虚無回廊」が完結しなかったことだけが残念でなりません。未完でも面白いですけれどね。


「ないにもないシアワセ」
ポケーっと生きててオッケー、世話を焼いて金を稼ぐ彼女がいるって状況は幸せなのか?仮に自分だとしてそんなふうに生きるのって怖すぎて無理だ。金がなくなったら誰かの家に転がり込めばいいやん、とか思えないんだよなー。お互い様だし、とも思えない。「どんなことがあっても他人に迷惑かけて生きることだけはダメだ」と子供の頃から刷り込まれているので、迷惑を書けない程度にメシが食えるようになろうと努力してしまうなー。

でもその刷り込みは社会が常に発展すること前提のノーテンキな団塊世代の世迷いごとから来てたのだなと思うと虚しくなる。こんな誰しもちょっとした拍子で社会的に転落してしまうような時代にはそぐわない。迷惑をお互いかけまくってしまうのは仕方ないと思うんだよ。

という意味ではこんな主人公が生き残っていける社会のほうが健全なんだろう。