「貴方がたには死んでいただきたい」と言えるか? / リーダーの値打ち

リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか? (アスキー新書)


僕もいい加減歳を取った。著者と同い年。まもなく四十路を迎える。
仕事場では年齢的に年功序列で責任者の地位な訳ですけれど、所詮雇われものですゆえ、中間で苦しんでます。自分はリーダーとしてどのように振舞わないといけないのか、そして私はどのような人をリーダーとして担ぎ上げないといけないかがわからんのよね。そのヒントにと思って購入。

で、読んだ感想としてはですね、なんかゴチャゴチャして生煮えだよこれは。練られてない感じ。

  1. どうして、こんなに馬鹿な人が組織のリーダーになっているのだろう?
  2. 私たちはこんなに頑張っているのに、なぜ成果に結びつかないんだろう?

が、テーマとあるが結論は「目標設定に誤りがあるからダメなので、常に自分を律して頑張ろうね」という面白くもなんともないごく常識的なもので、ただしそこへ至るまで論理展開は現場にいるだけあって臨場感がある。すぐ仕事に効く、というものではありません。類書は死ぬほどあるだろうけれど、著者が好きならどうぞ。

以下気になったところを大量に抜書き。

  • なぜ私たちがこんなに頑張っても成果に結びつかないかというと、目標設定に誤りがある。
  • 故に成果はでないし「前に進んでいる実感」は得られない。
  • これは組織も同じ。ダメな組織の問題点のほとんどは方針にまつわる部分に集約される。
  • 「指示が明確でなかった」「何を作っているのか分からなかった」「締め切り直前に大量の業務が発生した」
  • 上手くいかなかったプロジェクトは、制作上のマネジメントの問題がある
  • 会社がどこへ向かって運営されているのかが開示されないというのは、ある日突然に会社が倒産してしまったり、いきなり遠くの支店への配属を決められてしまったり、あるいは最悪解雇されたりといったリスクを知らされないまま、ただ給料を貰って悶々粛々と仕事に向かうしかないことを意味します。
  • どんなに最善の努力を払ったとしてもリターンを得る前にリスクを踏み続け、持ち堪えられなくなって倒れてしまう、というだって一般的には数多くあります。
  • 経済産業省が企業の失敗をデータベース化して公開していましたが、その中で圧倒的に多いのは業務を行うにあたっての見通しの甘さや、人も問題でした。
  • なぜ、日本の組織ではビジョンを浸透させられないのか。直接の理由は、会社の資本に関係がありますが、我が国では創業であれ大企業の年度計画であれ、全体の経営ビジョンから落とし込まれた実施計画や事業計画があまり重視されず、貫徹されない傾向にあります。
  • 「日本のリーダーにはビジョンがない」という批判は、すなわち日本の社会なり経済なり事業にとってお荷物とされる人たちが切り捨てられるだけの精神的なタフネスや、失脚しないだけの盤石な支持基盤を持たないということを意味します。
  • 本来のリーダーとは、状況や構造に応じて現状の問題を把握し、来るべき変化への対応や先取りを行うための意思決定と、その意思決定が組織全体へきちんと伝わるような掌握力とを併せ持つ存在でなければならないでしょう。
  • 新しいことに着手するには、必ずリスクが付きまといます。
  • 日本人は、どうしても前任者のやってきたことを否定するとなると、前任者の人格までもが否定されてしまうというふうに思われがちです。
  • 高度成長期の折に強烈に体験した「折り合っておけば、パイが勝手に成長して分け前が増えて、問題は時間が解決してくれる」という思考停止が、恐らくそこにはあるのだろうと思います。
  • 口ざわりの良い「無駄で不要な支出を国は減らせ」という議論のその行き先には、非効率の源泉となる法律の下で不採算を補助金で補填してどうにか維持している産業と、そこに従事している日本人がぶら下がっているのです。彼らに罪はありません。政府が、適切な形で生産的な産業へのシフトを責任をもって進めていくことが正道の産業政策であり、このまま頑張っていればいずれ報われるだろうという微妙に間違った努力から解放する必要があるでしょう。
  • 良いモノを作れば必ず売れる、という極端なモノづくり信仰が、ある種の機能至上主義的なプロセスを経て「コストを安く何でも盛り込んでおけば自動的に売れていくに違いない」という精神論を生む構造です。
  • 企画者は、才能に折り紙つきのごく数名を選抜して権限を持ち、ソーシャルゲームの流行とともに従来の大型タイトル開発の組織体制を少人数にしており、また外注管理もプロジェクトで一括管理していたものをより機能的な小口管理を行うなどして、本隊も外注も一体となって開発していける体制へ転換しています。
  • 主眼は開発サイクルの短縮にあります。
  • 人も率いた経験も、率い方を学んだこともない人が英雄待望論を語る
  • 頑張り努力すれば戦局はいつか打開できるという勝算なき突撃
  • リーダーシップとは正しさを人に説得すること