ソフト指し取り締まりは無駄じゃね?

将棋クラブ24に24ソフト指し取締委員会というのが開設されました。ソフト指し(将棋ソフトの指し手を入力して対局)した会員をHNを削除するんだそうだ。

正直申し上げて無駄だと思います。その労力は別なところに使って欲しいなあ。


◆ソフト指し禁止の理由は何なのでしょうか

将棋クラブ24の利用規約(2005/11/1 第3条4項但し書き追記)版にはソフト指し禁止の明示はないようです。あえていえば《第3条 利用者の義務 3.利用者は、他の利用者および第三者に迷惑、不利益をもたらす行為を行わないものとします。》が当たるのでしょうか。まあ取り締まり委員会がある(作った)ので、禁止なのでしょう。しかしながらその理由が明示されていないのはどういうわけなのでしょうか。書いておくべきじゃないですかね。《24では開発者あるいはその関係者以外のソフト指しは禁止しています。》というだけでは納得がいかない。

だって、ソフト指しする人は利用するソフトによりますが強いわけです。だからレートも直ぐに上がる。結果強い人が増える。仮に激指しを使っていたとすると、激指しレベルの対局者が増えるわけですよね。ということは強い対局者(ソフトですが)と指せる人が増えます。強い人と指すのは楽しいことですよ。摘発してやめさせるのは勿体ないです。放っておいてが問題あるとは思えない。

ソフトに代わりに指してもらうのはズルイよね、という精神的?なことが根拠になっているんだとは思います。自分の以外の外部の力を利用しているのは卑怯だと考えてのことでしょう。だけれど本当にそれは狡いことなのですかね。


◆盤上の出来事であり、将棋のルールを守っている。文句をいうことは無理

将棋のルールを勝手に増やしたとか、人質を取って相手の指してを無理矢理変更させたわけでもない。ただ指し手の品質が違うだけ。その指し手にどう対応するかは対局者自身の問題だし、それは人間を相手にしようがソフトを相手にしようが関係ないわけで。

終盤の局面、相手が詰みを読みきれずソフトを使って詰め筋をチェックしたとする。そして詰まされて負けたとして、敗因はなんだろうか。当然その局面に誘導した対局者本人です。人のせいにはできないでしょう。素晴らしい指し回しに拍手を送り反省材料にすればいい。

ソフトによるドーピング(能力アップ)が問題だとしたら、棋書で定跡をチェックしながら指したり、頭をすっきりさせる為に目薬を差すのはどうだろうか。どこまでがよくて悪いのでしょう。ましてやネット対局は相手が見えないのだから確認は困難を極めます。

ソフト指しを判断するのに、棋譜の一部を切り出してソフトの振る舞いと比較するそうですが、それでも結局は確率の問題です。いわんや数ある将棋ソフト、それもいろんなバージョンがあるのにいちいち確認するなんてバカげている。機械にやらせるならまだしも、人間に調査の協力を要請するのは無駄すぎる。

だから放っておくのが正解。

◆だからといってソフト指しを賞賛する気はない

さて。将棋とは指す過程を楽しむものだ。相手の心理、思考をなぞり合って交流する喜びこそが将棋の醍醐味である。将棋ソフトを使うと一番楽しめる部分をごっそり失うわけです。そういう意味で私はソフト指しを行う人たちの気持ちがわからない。なぜに一番楽しめる部分を捨てて、レーティングアップに心血を注ぐのかを。

勝つ快楽も将棋にはある。あるが、自力でやってこそじゃないかと思うんだけれど。単に悔しがっている姿を見たいのかな。だとすればそれはある程度成功したことになる。なるが、やっぱり将棋の醍醐味は味わえない。同じ一局を指す時間を取るのであれば、自分で指したほうがずっと充実したものとなると思います。


◆結論。久米さんとばっちり
結局損をするのはソフト指しで将棋の醍醐味を味わい損ねている人と、「ソフト指しむかつくからなんとかしてよ」とごねる会員を宥めるために新たな雑事を引き受けなくてはならなくなった久米さんです。普通に指して楽しんでいる人は特に問題ないでしょう。

もしソフト指しを本当に止めさせたいのなら、将棋の楽しさを全面にアピールすることで改心を図るしかないんじゃないかしら。

えーっと、久米さん、頑張ってください。

P.S おそらく海外のチェスの対局サイトでも似たような問題がすでに起こっているのでしょう。現在の解決策を参考にしてもいいかもしれませんね。



参考作品(amazon
将棋ソフト一覧
将棋ワールドチャンピオン 激指7