星新一 一〇〇一話をつくった人

前半三分の一は星一(新一の父)の話で興味がなかったため苦痛。
中盤の星のデビューからの話は、小松左京筒井康隆柴野拓美等の日記や回顧録を読んでいたのでおおよそ知っていたので、タモリへのインタビューといった珍しい情報以外に見るべきものがなかったかな。
そもそも本書からは取り上げた著者に対しての敬愛とか愛情とかが感じられず違和感があった。ノンフィクションだし事実を積み重ねて個人を浮き彫りにすることが使命なのかもしれないが、それにしたってそっけないように思われる。それなのに酒の席での星の表情や心理については想像して補完して書いてあったりしてまるで司馬遼太郎のようだ。
著者の主張のために星がダシにされたような気がしてならない。
日本SFについて少々知識があった、ということを割引いても改めて読む必要が私にはなかった。