昭和将棋史 大山 康晴 岩波新書

昭和将棋史 / 大山 康晴

例によって口述筆記であろうが、この本はいいねえ。大山からみた将棋界が描かれているわけだが、その視点は将棋の中心地でない大阪・関西からみたものでこれはなかなか珍しいんじゃないのかしら。時代が動くときに出てくるキーパーソンの名前もしっかり書かれているのであとから調べやすいし(大阪棋界を支えた呉服屋の田中房太郎、実力制名人戦創立にかかわった中島富治、高野山の一戦の舞台を用意した毎日新聞社の森口肇、記者の樋口金信など)昔の棋士(大器と謳われた関口慎吾六段とか)のってますし。あと面白いのは、将棋連盟の会長がコロコロ変わることについて再三、はばかりながらも非難している点が面白かったな。曰く、トップがころころ変わる組織が信用されるものか、というもので至極真っ当なご意見だ。確かにね。もっとも長期政権は腐敗の温床でもあるけれどさ。
ま、将棋史を語るなら一読して置くべきだろうな。