村上 隆「芸術起業論」

芸術起業論

芸術起業論

彼の作品が海外で評価されてしまったので、日本人の芸術家や美術志望者は嫉妬のあまり(無自覚に)彼を憎むのだな、ということがよく分かった。

本書は彼が如何にして今の地位を築いてきたか、という生々しい証言集である。36歳まで廃棄されたコンビニ弁当を貰う日々だった彼が、アメリカに渡りどのようにして成功するための方法を編み出したかということが語られている。

精神的な殺し合いに打ち勝ってきた彼からみたら日本の生ぬるい「芸術家」や「評論家」はしょっぱく思えて仕方ないんだろうな。苛立ちが伝わってくるよ。

また芸術をどう見ていくと面白いかとか、海外からみた日本文化の扱われ方などは本書を読んで蒙を開かれたし工房を作って多くの作品を生産する仕組みや運営の仕方や考え方は組織を作っていくうえでの参考にもなる。単行本の表紙が藪にらみな村上氏の顔のアップなので手に取りにくいとは思うが読んで損はしないね。早く文庫になって欲しい。


参考作品(amazon
村上隆作品一覧