貧困のない世界を創る / この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

貧困のない世界を創る

貧困のない世界を創る

著者について
ムハマド・ユヌス Muhammad Yunus
1940年、バングラデシュチッタゴン生まれ。チッタゴン・カレッジ、ダッカ大学を卒業後、チッタゴン・カレッジの経済学講師を経て、米ヴァンダービルト大学で経済学博士号を取得。
1972年に帰国後、政府経済局計画委員会副委員長、チッタゴン大学経済学部学部長を務めて教鞭を執るが、1974年の大飢饉後に貧しい人々の窮状を目の当たりにして以来、その救済活動に目覚め、1983年にはグラミン銀行を創設。マイクロクレジット(無担保少額融資)で農村部の貧しい人々の自立を支援する手法を全国で展開し、同国の貧困軽減に大きく貢献した。これが多くの国際機関やNGOなどの支援活動の模範となり、現在では全世界で1億人以上がマイクロクレジットの恩恵を受けているといわれている。ここまでの彼の歩みについては、『ムハマド・ユヌス自伝──貧困なき世界を目指す銀行家』(早川書房)に詳しく語られている。
また全方面からの貧困撲滅を目指すユヌスとグラミン銀行は、貧しい人々の住宅、教育、医療などを支援するサービスを次々と開発するのみならず、多くのグラミン関連企業を創設して、地場産業の振興、携帯電話やインターネットの普及、再生可能エネルギーの利用などをも推進している。そのいくつかは、彼の提唱する「ソーシャル・ビジネス」の形で運営されている。これは株主の利益の最大化ではなく、社会的利益の最大化を目標とする新しい企業体であり、会社を持続可能にする収益を保ちながら社会貢献ができるという点で、企業の社会的責任(CSR)や慈善事業に代わる概念として注目を集めている。本書は、仏ダノンとの合弁による「グラミン・ダノン」の例を挙げながら、ソーシャル・ビジネスのコンセプトから実践面、そしてその拡大によって世界を変える道筋までを、ユヌス自らが情熱豊かに綴るものである。
ユヌスの功績に対しては、「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞、世界食糧賞、日経アジア賞、福岡アジア賞など数々の国際的な賞が贈られており、2006年にはノーベル平和賞を受賞している。

貧困を撲滅するために立ち上がり具体的な成果を上げ続けてきた超人の現時点までの自伝。どれだけの人間を救ってきたのかを考えると凄すぎて笑わざるを得ない。本書の最後に収められているノーベル賞受賞時のスピーチにすべてが凝縮されていますので、時間のない方はそこだけでも押さえておくといいと思います。まあ、そこを押さえちゃったら最初から読まざるを得なくなりますけれどね。

本書は dankogai 経由で知り図書館で予約。20人待ちだったので、先に購入してた西原理恵子この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)」に著者であるムハマド・ユヌスが創ったグラミン銀行について取り上げられていて仰け反った。すわシンクロニシティか、なんてね。

もちろん西原さんの本も、生きる上でお金について真剣に考えてごらんよ、お金がないっていうこと、貧困ということはいかに人間の尊厳を傷つけダメにしていくか、だからこそそのことを知っていないとダメだよ、というメッセージが語りかけ文体で書かれています。彼女の人生をダシにして書かれているからリアリティがあり迫ってくる。襟を正して聞かなくちゃならないな、と思わせる力があります。

というわけで両方とも読んでおくといいと思う。中学生は特に、と思うけれど大人も読んで本棚に入れておけばいいんじゃね?

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)


参考作品(amazon
ムハマド・ユヌス作品集
西原理恵子作品集