高橋和の上目線発言のおかしさ / 作戦も選べない将棋なんて
- 出版社/メーカー: 幻冬舎エデュケーション
- 発売日: 2009-09-05
- メディア: おもちゃ&ホビー
- by anzu_clip
■高橋和の上目線発言のおかしさ
発言というものは、立場によって意味が大きく変わってくるものでありまして、例えば実績の伴った人物のそれでしたら納得もできますし、言葉通り素直に受け取ったりできますが、結果も立場もない方が正論を吐かれましても「そうですね、ところであなたはどうだったのですか?」と問われてしまうと立つ瀬がないわけでして。
高橋和は、「プロ棋士がアマチュアに負けるなんていうのは恥ずかしいので奮起しろ」と言いたいらしいのですが、彼女の成績や態度を思うと残念ながら、
お ま え が い う な
としかいえない。
ママゴトのような将棋を指していて(女流の)タイトル戦が戦えるレベルなわけですよ? そんな集団に「勝つのが当然」なんて無茶ぶりです。そもそも女流プロというのは、将棋の普及促進のために生まれたわけで、決して棋力を求められた存在ではない、という前提を理解していないよね。
このような勝負は二の次の生ぬるい環境だったにも係わらず、高橋の成績はどうだっただろうか。高橋が示す「プロ」とはトーナメントプロを指すのでしょうが、そういう意味では「プロ」ではない女流棋士達に奮起しろとかいわれてもねえ。あなたが現役のときに結果をどんどこ出せばよろしかったのではないでしょうか。
彼女の発言を読んでいて私がイラッと感じてしまうのは、つまり彼女は自分がトーナメントプロとして一人前にやってきた人間としてもの申しているつもりらしいが、成績を鑑みてそもそも一人前じゃなかっただろおまえ、という無自覚なところと、女流プロはトーナメントプロ集団であると壮大に勘違いし、「プロだから無様な将棋指すな」など斜め上な発言をしているからです。2重で勘違いしているのが痛い。
逆にこういう叱責発言をしていいのは、男子棋士と渡り合える(た)、中井、清水ぐらいじゃないですかね、女流では。男子プロなら発言してもよいと思うけれど、いわないよね普通。
男子プロは、女流なんて普及の駒ぐらいにしか思っていないからアマチュアに負けようがどうでもいいだろうし、中井、清水も女流の存在意義(=普及が第一)を理解しているだろうから改めていう必要もないって考えているはず。だいたい負けた本人も流石に奮起するでしょう。高橋の書き込みはほんとーに無駄でよけいなお世話だったですね。
つーか、女流に限らず、棋士は勝負将棋で魅せるトーナメントプロと、指導普及するプロに分けるべきです。一緒くたにするからこんな事になるんだよ。
■作戦も選べない将棋なんて
えーっと、先日のNHK杯戦で広瀬五段得意の四間飛車穴熊に組ませないために先手・増田五段が3手目角交換(初手から▲7六歩△3四歩▲2二角成)としたことについて、《正直、目先の1つの勝利のために、志の低い構想を見せたことに憤りを感じた。》とのことですが。
いいんじゃねーの? 相手の得意戦法に飛びこんでいくとかよほど自信があるか勝つ気のない人であろうし、特にこんな特殊な戦法を得意にしているのは1人なんだから研究するのもバカらしいので単純に角交換して振り穴やらせないよー、という発想は大いにありだと思いますけれどねぇ。だいたい、相手の力がでるような形にしないことが、将棋に勝つひとつの姿勢なので非難するにはあたらないでしょ?
当然こんなことは誰でもやっているわけだしね。ここ数年谷川先生は振り飛車党相手に相振り飛車を連採してますがこれも相手の得意戦法を外していますよね? というか、相手の得意戦法を受ける必要があるのなら振り飛車党は全員穴熊を相手にしなくちゃならないわけですけれども。谷川、丸山の先手角換わり腰掛け銀を受けなくてはならないのですけれど。
と、ここまで書けばどんだけ無茶をいっているかはわかったでしょうか。美学を勝負に持ち込まれては棋士も困ると思いますよ。
関連エントリ
女流棋士の行く末@将棋戯言
↑女流棋士トーナメントプロ化についての提言と、逆行する周辺について(2001年)
悲しき女流棋士@将棋戯言
↑トーナメントプロになりきれない女流棋士の泣き言への叱責、というか嫌み(2003年)
将棋戯言@はてだ
将棋戯言
追記(09.07.29)
id:Fireworks からトラックバックを貰いまして読ませてもらいました。なぜに上記のようなことを書いたのかということを、客観的に書いていて好感が持てました。
が、コメント欄での返事が本音ですね。こっちを最初に書いていればおいらもつっかからなかったのに(笑)
FireworksFireworks 2009/07/21 22:46 たしかに、広瀬五段も仕方ないと思っているでしょうね。
ただ、私は広瀬五段の振り穴が見たかった。その欲求とわがままがこのエントリーとなっています。ちょっと熱くなっていました。
ところで皆さんは高橋和のほうはスルーなんですねぇ。