下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)

なぜ日本の子どもたちは勉強を、若者は仕事をしなくなったのか。だれもが目を背けたいこの事実を、真っ向から受け止めて、鮮やかに解き明かす怪書。「自己決定論」はどこが間違いなのか? 「格差」の正体とは何か? 目からウロコの教育論、ついに文庫化。「勉強って何に役立つの?」とはもう言わせない。

というわけで内田センセの見立ててでは、詰まるところ《「学ぶこと・労働することを拒否する人々」は必ずしも自分の意志でそうしているわけではないからです。彼らはそのような意志を持つようにイデオロギー的に誘導されているのです。》であり、そのイデオロギーの中身は、形成するのに時間の掛かる事柄(教育過程・社会人の成長過程)を排除する経済的思考が蔓延したためじゃねーの?ということでした。

この仮説がどのような道筋を辿って生まれたのかは本書でご確認下さいませ。膝を打つような文言満載で、手元の本は引かれたボールペンの跡だらけになりました。知的興奮と蔓延してしまっている経済的思考の繁殖ぶりに慄然とします。自分がまさにそういう傾向があるからなぁ。オススメ。


参考作品(amazon
内田樹作品集