懐かしいというか / ふみふみこ「女の穴」

『女の穴』：自分は宇宙人で、地球人の子どもを作るよう命じられているので自分と寝てほしい…と担任教師に迫る女子高生の虚無。『女の頭』：禁断の想いが抑えきれず、死んだ兄を人面疽として後頭部に寄生させ続ける妹の純愛。『女の豚』：ハゲでチビでデブで同性愛者の中年男性教師を、豚扱いしていたぶり続ける女子高生の倒錯した愛。……女は不思議で、怖ろしくて、いやらしくて、そして愛おしい……。「コミックリュウ」誌上での掲載時から、独特の感性を持った女流新鋭として各方面より絶賛されたふみふみこ、記念すべきファーストコミックス。前記３作品に加えて、『女の豚』を別視点で描いた意欲作『女の鬼』４０ｐを描き下ろし。

マリノアシティのビレバンで見かけて購入。
女性の内面を、SF要素や妖怪要素なんかを持ち込んで表現するのは少女・女性漫画の伝統で、萩尾望都まで遡ることになるのかなーとは思うのですね。ですので、懐かしさを感じました。やはり落ち着きますな。

ちょいエロかつ女性のドロドロを綺麗にまとめている、という点は評価されるところでしょうが、逆に物足りないとか、雰囲気だけ、とか、サブカル気どんな、とかも言われるでしょうね。評価基準は読み手の感度に左右されるということかな。絵は書き込みすぎず少ない線で描かれてて手抜きの一歩手前感がありそのあたりも色々ツッコミが入るのだろうけれど、私なんかは上手いな、とか思ったけどね。

男からすると女は謎ですからなー。源氏物語を交えるとかよくありますけれど、上手く使えていると思います（女の鬼）。

「コミックリュウ」という掲載雑誌の色合いの関係で、このようなテイストになったのかもしれないですが、もっとエグい展開も可能でしょうし、他の作品を読む楽しみが増えました。

しかしどうなんでしょう、現実の女性に接していても恐ろしさやいやらしさを存分に味あわせて頂いておりますが、本書で精神的にあえて追体験しようする自分がよく分からんなー。極希に出てくる「愛おしさ」に出会えるかも、という幻を追っているんだとすると、お疲れ様、ですな。