知識のつまみ食いは楽しいけどさ / 竹内一郎「人は見た目が9割」
著書名こそが売上を左右するんだな、ってことがしみじみ分かる本だなぁと。
本書の内容は「人間のコミュニケーションには言葉を使ったものとそれ以外、例えば服装や仕草によって情報伝達しあっているんだよ」ということと、著者の舞台制作や漫画原作時に遭遇した「非言語コミュニケーション」例をだらだら並べたものです。まとまっていない、というか過去に発表したものを工夫もなく繋げただけなんじゃないのかね。
私たちは生活をしていく上で意識しているしていないに係わらず言語・非言語コミュニケーションを駆使していますし、それを得意げに指摘されてもこっちが恥ずかしくなりますねえ。「非言語コミュニケーション」入門!なんて文字が帯におどってますけれど、入門の体すらなしてないんじゃないのかなー。
ただこのテーマは誰でも口を挟める話題なので、話しのネタ的に使い勝手がよかったのかなと思います。血液型占い的な世間話の埋草的な立ち位置といいますか。
参考文献に基礎を築いたアルバート・メラビアンの「Silent messages」を挙げていないのはどういうことなのかな、と思いますが著述業者なので、キャッチーな本が書けて売れればいいのでしょうな。
というかね、そうね、嫌味な感想になってしまうのは、結局内容が自分の経験だけで客観的な評価や調査や比較がなく、それにも係わらず都合のよいところは切り貼りした先人のネタで興味を引こうとするお手軽さ、真面目に取り組んでない様が透けてみるのです。そこがねぇ、まあイラッとするところといえましょうか。
もっともテーマになっている「非言語コミュニケーション」自体の面白さは大いに認めるところでありますので、参考文献や原典をあたったほうがよいでしょうね。いや、こんなに程度が低い本だとは思わなかったよ。ある意味凄いな。