40代から巻き返す「具体的」な方法について

なにを隠そう今年で40歳を迎える。取り立てて公的な資格を持っているわけでも上場企業に務めるわけでもなく、仕事スキルも高いとはいえない私。景気が悪く、いつまで正社員でいられるか? 責任は増えるが給与増加はままならず、技術革新の波にさらされながら、自分はいつまでついていけるだろうか、といったことに悩んでいます。


今月頭に親父は亡くなる、側溝に落ちて右足親指を脱臼するなど、イベントが立て続けでいささか参っていたりする日々が続いてます。
生活を守るため、生きがいをつくるためにも、積極的に人生と向き合わないといけないときが来ている、と実感しています。そこ、気づくの遅い、とかいわない。


で、書店をさまよい藁にすがる思いで手にしたのがこの一冊。


40代から仕事で巻き返す技術 (メディアファクトリー新書)

自己啓発によくあるタイプのものですが、タイトルにやられました。「40代」というワードが私にビンゴだし、「巻き返す」で少しでも前向きにやろうぜチャンスはあるよ!という意思を感じました。嗚呼、見透かされてる…。


さて、本書を読んで膝を打ったのは、各章で著者が伝えたかったであろう「巻き返す」小技の数々ではなく、著者がどうして「巻き返そう」と決断し、行動できたかという背景でした。


■決断する
私が見たところ、著者はいくつかの点で恵まれていたように思います。
1つ目は、変わるきっかけが外部から与えられたこと。

 そんな私が変わったのは、40歳を少し過ぎた頃だ。ちょうどその頃、人事異動によって、好きでも得意でもない部署に配属されたことも大きな転機となった。
「何もしないで不平不満を口にしているよりも、やりたいことを思い切ってやってみよう」
「人生80年の時代だ。『どうせ自分なんて……』『今更さら無理』なんて思っていないで、今からでもやれば、残り半分の人生、きっと大きく変わる」
 このように思い直し、自分の得意なこと、好きなことを極めてみようと動き始めた。

転機に乗じて動き始めようと思い切れたこと。実際心の動きはどうだったかわからないけれど、結果として行動を変えることが出来たわけです。

きっかけはわかる。私だってあなただって大小違いはあれど、きっかけはあったはず。だけど、行動を変えるに至るには、もっと何か大きく強い力が働かないと難しいのではないか。「思う」から「行動にする」へとたどり着くためには強固な意志が必要だが、ではその意志を形成する原因はなんだったのだろうか。


■行動する
著者の職場はラジオ局でした。ゲストには活躍するタレントをたくさんいたのです。そんな人たちと間近で接してきた、というのが解答でしょう。キラキラ輝いている人たちに触れ合い続ければ、ポジティブなエネルギーが注入され続けたに違いありません。

身近に活躍している人がいるとよい影響を受けますよね。よし俺もいけるはずだ、と後押しされたことだと思います。著者は、本を書いたり教壇に立ちたいと夢がありました。ラジオのゲストには大学教授などもいたでしょうから、自分の目標とする人を目の当たりにして、常に鼓舞されてきたことでしょう。

つまりはこの著者の場合、環境がよかった、に尽きるといえます。門前の小僧習わぬ経を読む的なことですね。これはバカにできない重要な点ではないかと思いました。


■私たちはどうすればよいか?
本書の価値は、時間を節約するとか、夢を持つとか、テクニック的ことも勿論意味はあるんですけれど、これは自己啓発関連の本を数冊読めば載っている基本的なことです。

学ぶのはそこではなく、変わるきっかけ行動結びつけ習慣として定着させるところまで持っていくか、という自己改革の環境作りについてだと思います。

そしてそのノウハウは、変わろうとするなら「成功している人たちに近寄り同じ空気を吸え」ということです。
具体的には、自分の目標とする人が集まるところに出向いて意見交換なり、空気に触れたりして常に自分を鼓舞できるような場所や仲間、先達を手に入れることになるでしょう。

すると必然的にその場所に居続けるための努力をせざるを得ませんからね。そうやって自然に自分を追い込む環境へ移動する。成功の鍵は恐らくそのあたりです。


■結論
変わろうと思ったら、成功あるいはリスペクトする先行者に会いにいこう。
ポジティブなエネルギーを常に吸収できる環境に身をおこう。
先行者の書籍や生き様が分かるもので学習しても効果はある。