羽生の決め手 妙技伝シリーズ 森けい二

「羽生の決め手 妙技伝シリーズ 3」森けい二
羽生の将棋を眺めていると、何人もの棋士が同居しているような感覚に襲われる。彼ほど柔軟に将棋を指せる人はいないのだろうな。
普通プロってのは、自分のスタイル(棋風)を磨き上げて強くなっていく。そのスタイルは戦法、戦術によって影響を受け、それぞれ相容れないものも多い。居飛車党、振り飛車党という分類があるのもそのためだ。だけど、羽生はその感覚の断絶を自在に横断していくんだね。こんな指し手を相手にするなんて相当大変だろうなと思う。
ところで、この本、1ページに羽生の指した次の一手と、その局面に至るまでのポイントが解説されているんだけど、見にくいんだよなあ。解説ポイントが次の一手の局面のすぐ前とかじゃないので、次の一手を考える前に、その解説の局面と次の一手の局面との関連を考え出してしまって、次の一手を考えるのに気が散る。