移動都市 フィリップ・リーヴ

「移動都市」フィリップ・リーヴ
懐かしいテイストの少年少女向けSFでございます。
戦争で文明が荒廃した未来、キャタピラをつけた都市が移動し、それらがお互い喰い喰われるを繰り返すヘンテコでそそられる世界に巻き起こるドタバタで、SFたらしめる細かい設定の甘さ(巨大な都市を動かしているのに木を燃料にしてみたり、都市を動かせる技術があるのにコンパクトディスクを読み出す技術ないとか)と登場人物がガンガン死んでいく実も蓋もない展開が気にならない人なら十分楽しめるのではないかしら。私はつっこみいれながら存分に楽しみました。
都市間を移動する飛行船や、反移動都市同盟の基地の描写を読んでいるとイメージがどんどん膨らんできて最高です。妄想に耽ることのなんと楽しいことか。読書体験の素晴らしさを再確認できました。
4部作の1作目ということで、また楽しみが増えました。幸せ。