神谷 広志「奇襲虎の巻―明日からすぐ勝てる (MYCOM将棋文庫)」

ブクオフに105円で転がっていたので保護。

目次

第1章 振り飛車

 四間飛車独走銀
 ハメ手中飛車
 原始中飛車
 阪田流向かい飛車
 鳥刺し
 新型鳥刺し
 角頭歩突き戦法

第2章 袖飛車編

 玉頭強襲作戦
 ▽7四歩戦法

第3章 矢倉編

 カニカニ銀 (1)
 カニカニ銀 (2)
 対矢倉一直線棒銀

第4章 相掛かり編

 タテ歩棒銀
 宇宙戦法
 くさりがま銀
 ▲5八玉戦法

奇襲といった珍しい戦型を集めた本っていうのは往々にして出典元の表記がなくその戦法がプロ将棋でいつ出現しいつ消えたかといった時系列的な整理が行われていない。それ故、昔の棋書で出現した変化から工夫があったのかどうかが不明である。いつのものを抽出して編集したのか?

例えば、「ハメ手中飛車」などは私が小学生の頃からある形だ。「原始中飛車」の変化は升田幸三の研究成果である。鳥刺しの元祖は天野宗歩だし、新型のほうは大山15世に対抗するため内藤が採用したことがきっかけだったはず。角頭歩で成果をだしたのは米長永世棋聖、くさりがま銀を絶滅させたのはかの芹沢、宇宙戦法を著したのは佐藤大五郎であります。

というわけで本書に限らず棋書全般にいえることですが、過去の指し手へのリスペクトが足りないんじゃないか。少なくとも著作物として自分の名前を出すのであれば参考にした棋書、棋譜ぐらいは載せるべきではなかろうか。

というか、MYCOM将棋文庫ってすでに絶版なものが多いのですね。MYCOMのサイトで検索をかけてもでてこないのに吃驚だよ。というか、「消えた戦法の謎」クラスの良書でさえも再版しないMYCOM絶望した! 中古で5,000円越えとかありえないぜ!



参考作品(amazon
勝又清和消えた戦法の謎―あの流行形はどこに!? (MYCOM将棋文庫)
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