篠沢 秀夫「教授のオペラグラス―ニッポンと西洋」

まえがきからして超戦闘的でイメージ(朗らかそうと思ってた)からはほど遠い人物でした。

 要するに、本書は”戦う小国民”として戦争を戦い抜き、敗戦後の”アプレ・ゲール”のイカレポンチとして、無秩序感覚を身につけた世代からの、日本社会の未来に対しての、挑戦状である。

目次
西洋化の3段階―“洋服を着た猿”から“宇宙人”へ
 明治維新は一種のルネッサンスだった
 第三代目化現象
 ノーキョーは偉かった

内なる西洋、内なる日本―近代日本インテリの建前と本音
 菊池寛とガスストーブ
 志賀直哉―もっとも早い時期での西洋化3代目
 芥川龍之介の美しき死
 内なる西洋を悪魔払いする
 三島由紀夫と「軍国の春」

第二の鎖国―“帝国軍人”から“高貴なる市民兵”へ
 初期帝国軍隊のキリスト教的精神基盤
 シビリアン・コントロール
 ”高貴なる武装集団”と第二の鎖国

新世代へのメッセージ―きみたちは偉いのだ
 外国語ベタは先進性のあらわれである
 若者の政治離れについて
 イデオロギーとイデオロジー
 ほんとうのエリートとは
 なんのために勉強するのか

解説
 谷沢永一

挑戦状、というよりは教授がフランスと日本での生活体験を元に、明治維新以降の日本人の生活様式の変化を考察して一気呵成に語り下ろしたものです。なるほどなと思ったり、ほんとかよと勘ぐったりしつつ楽しんで読了。

フランス人は母国語を愛するがゆえに自国ではけっして外国語を話さない、という神話があるけれどウソなんですって。たんに学校で習っていないが故に外国語を知らないだけだというのがカラクリなのでした、という話。こういうのは飲み屋の話のネタになるので頗る有り難い(笑)。



参考作品(amazon
篠沢秀夫関連作品