日本人のしつけは衰退したか―「教育する家族」のゆくえ (講談社現代新書 (1448))
まもなく娘を授かるということもあり、教育関連のスゴ本を漁っているところなのですが、これは紹介して置きたい1冊ということで。
低年齢層の残虐事件の報道が近頃増えてきたことに対し、家庭でのしつけがなっていない、という批判があるそうですね。昔に比べて、うんぬん、というやつです。実際昔、まあ年代にもよりますがどちらにしても現代より家庭でのしつけはほとんど行われていなかったことが本書を読めば分かります。
逆に、現代では親に時間的金銭的余裕があるためにわが子に手をかけすぎる、という問題のほうが大きい。いじり倒しておかしくしてしまうのですね。過干渉というやつです。私もその後遺症が残ってますね…。何事もやりすぎはよくないですよ。
本書は、そういった「しつけ」について流布する世間のイメージを、資料を用いて丁寧に読み解き鮮やかに翻しています。結論を知りたいかたは、序章、及び6章 しつけはどこへを参照すると、現在のしつけ問題についてたちどころに把握することができるでしょう。また「しつけ」の変遷についてはその他の章を読むとよいです。
マスコミは耳心地のよい言葉を並べて視聴者や読者を集めないと商売にならないのでしょうが、本書を読まれてしまうと困ってしまいますねぇ。はっはっは。10年前の本ですが有用性が少しも損なわれていないのでした。まる。
別件ですが講談社現代新書のカバー、どうしてあんなに安っぽくなってしまったのでしょうか。昔のカラーのほうが断然見栄えがいいと思うのですけれど。