現在の世界経済を学べる2冊

なんだかんだいってもアメリカ経済の影響力は大きい。サブプライムローンを発端とた経済恐慌の仕組みや背景を知る上で有用だったので以下の2冊を推薦します。

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363) (光文社新書)

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363) (光文社新書)

  • 作者/主演: 小幡績
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008-08-12
  • メディア: 新書
  • by anzu_clip
アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

  • 作者/主演: 町山 智浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008-10-09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • by anzu_clip

「すべて〜」はサブプライムローン問題が引き金となったと思しき世界恐慌の仕組みを解説した本で、丁寧に書かれています。丁寧過ぎるので、解説が多く文字を追うだけでは把握するのが若干面倒だったりします。お金の流れを可視化すれば分かりやすいし説得力が出るのにな、と思いますがそんなことは気にならないぐらい刺激的ですわよ。

どうしてサブプライムローン会社が繁栄したのか(=10年ほど土地の値段が上がり続けるから仮にローンを払えなくても土地を売ればどうにでもなるという神話があった、日本と一緒だね)とか証券化したクズ債権が世界のファンドにどうして組み込まれたのか(=リスクを低下させるには複数のファンドを組み込むのが妥当)とかファンドマネージャーがどうしてリスクの高いクズ債権を組み込んだのか(=思ったよりクズ債権の破綻がなく高配当を得ており、成果を期待されている以上、ライバルが組み込んだら組み込まざるを得ず、結果チキンレースに参戦せざるをえない、もちろんいつかは破綻)とか目から鱗のオンパレード。

で、そのサブプライムローンに群がる人たちを産んだアメリカの素敵過ぎる内情を報告するのが「アメリカ人の〜」であります。
普段マスメディアで接する美化されたアメリカとは違う、ごく普通の一般的なアメリカ人たちののけぞるような生態を目の当たりすると、日本人のほうがマシなのかもな、と思わされます。

進化論拒否、知性拒否の福音主義者が大統領選挙を左右したり(政教分離じゃなかったのか?)、サブプライムローン騒動に巻き込まれたり巻き込んだりしながら金持ち以外全員不幸になってみたり、前大統領ブッシュの非道ぶりとか、メディアコントロールの酷さなんて日本なんてまだまだ甘いな!と思ってしまう破壊力よ。ウォルマートの、街を破壊する経済侵略の徹底さは薄気味悪くすらある。兵士の質の低さなんてのも日本の基地での騒動を見れば明白だものねえ。

新大統領になったとしてもだ、アメリカに世界の盟主として期待するのはもうやめにしないとダメなのだな、ってことが痛感できます。いやはや、どちらにしても大味な国であることよ。

アメリカの悪いところ(経済効率のみの経営術とか、メディアコントロール)はすぐ日本に伝わってきますから、本書に書かれた悪夢のいくつかは、どこかで実現するかもしれません。皆さんも本書を読んで備えておくといいと思うよ。


関連:
小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記
ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記