初級将棋ファン必携書!鬼オススメ / 「将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編」

完全にノーマークだっただけに衝撃が大きい。こんなに丁寧に初級者にまで目を配った棋書は初めてだ。


序盤の研究で知られる上野裕和五段によるプロ将棋の序盤完全ガイドが完成!

ゴキゲン中飛車、石田流、角交換振り飛車・・・、なぜ今これらの戦法が流行っているのか、知りたくありませんか??

最新の序盤手順を解説した本は数多くありますが、本書は「なぜ現在その形が流行しているか」を戦法の歴史からさかのぼって解説した棋界初の画期的一冊。将棋を指す方はもちろん、自分ではあまり指さないという方でも十分理解できるように、図面に矢印等の記号をふんだんに使い、直感的にも分かりやすくなっています。

基本用語の解説から、プロの最新局面の解説までが一気に理解できるはずです。将棋戦法の変遷は読むだけで面白く、将棋を指す上でも観戦する上でも、大いに役立つ内容となっています。

丁寧なんだけれど、必要最低限にまで説明を絞ってて、高段者が読むのにも耐えられるようにポイントのみ解説されている。「完全」ガイドとうたうにしてはギリギリな戦型チョイスをしてて、幾分物足りない気もするけれど、そんな人は将棋世界の教授の連載や、「最新戦法の話 (amazon)」、各戦型の専門書を読めば良いわけで、レビューで「先手中飛車に対する相振り飛車の記述がない」とかなにいってんだこいつ、っていう。

説明に入る前にこの章はいったいどういう内容なのかと明示していたり(「本書の概要」「各部の概要」等)、解説図の位置を文章中に矢印で示したりしていたりと、読み手に余計な負担をかけず、内容に集中できるのも大きいね。初級者や見るファンは棋書に慣れていないだろうことを見越しているところがよいなと。内容を3つに分けて構成しているのもポイント高い。

超初心者には第1部を、見るファンには第2部を、中級者には第3部がマッチしていると思います。特に第2部は出色の出来。

文体も語りかけるように、ユーモアを交えて、ポイントは太字になっており、なんつーの、よく出来た予備校の参考書みたいwではあるのですけれど、こういうタイプの棋書はなかったような気がする。

著者上野はトーナメントプロとしては残念でフリークラス目前だったり、連盟理事になってトーナメントプロとしてマイナスなことをしてみたり、ブログではなかなか結果がでないことを告白してたり、ハゲてきたり、なんつーか棋士の中でも不遇な人なのかと思っていたんですが、最近は結婚もしたそうだし、こんなよい棋書を書けるんだからそうでもないな。少なくとも居飛車編が出るのなら、内容見なくても即予約するレベルですしね。

つーか、もっと書くほうの仕事をしたほうがいいですね。こんなに分かりやすく書くのは、過去の棋書に比べて分かりやすいそれを書くと定評のある教授だって出来なかったことなのですから。



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棋士紹介:日本将棋連盟
上野裕和 - Wikipedia
ちゅう太ブログ
上野 裕和 (hirokazuueno)


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本書ももしかするとオールタイムに組み入れられてもよいかもしれない。しかし教授の「最新戦法の話」って2007年の作品なのか…。えー、マジでか。そんな前?